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「転載可能」が奪うもの

「Yahoo転載機能」関連
「転載OK」と指定するユーザー(正確には「転載不可と指定しないユーザー)が、何を奪われるか考えてみましょう。──それは「著作権法上で付与された権利」と、自分が生み出した作品の行く末を見守る能力です。

契約書がなくても、契約だ

のっけから話が逸れますが。

私が法律の講習に通ったとき、最初の授業の最初の質問は、こういうものでした。
「あなたは、これまで、何回契約を交わしてきましたか?」
私は思わず、指を折って、いわゆる「契約書」にハンをついた回数を数えはじめました。「一人暮らしをはじめて、アパートを借りたときと、就職のときと、それから……」
他の受講生も、ノートのすみに「正」の字を書いていたり。
そのとき、講師が。
「何をやっているんですか?」
と笑い声を出しました。
「料金を払って、電車にのる。それも、「輸送の契約」です。八百屋で野菜を買うのも、購買契約です。あなたは、金の所有権を手放して、かわりに野菜の所有権を手にいれる。契約書の有無は関係ない。権利が誰かから誰かに移るとき、日本の法律上は、すべて、契約とみなされるんです」

これは、カルチャーショックでした。

さて。小説家が、出版社に原稿を渡し、出版社から金を受け取る。出版社はその小説を、「複写する権利」「複写物を(読者に)売る権利」を、小説家から買ったのです。これはもちろん契約です。気がかわって「金は返す! 小説を返してくれ!」といっても、まぁ無理です。それは「契約違反」の行為なのですから。

《Y!ブログ》のユーザーが、記事の著者として、「転載」のラジオボックスを「不可」に動かさないまま、自分の記事を公開するとき、それはブログを見にきた《Y!ブロガー》に対して「転載していいですよ」とゼロ円で売ったのと同じことです。黙示の契約です。

他のブロガーが転載した後に、気が変わった!削除してくれ!というのは、「黙示の契約に対する違反行為」です。もちろん、他ブロガーに「消してください」とお願いすることはできます。相手も消してくれるかもしれません。でも消してくれないからといって、法的手段に訴えるのは、まず無理でしょう。

さらに。転載先から、さらに転載されるかもしれません。著者には、どこへ転載されたか判りません。「こんなバカな記事を書いた奴がいる」というコメントをつけて転載されているかもしれません。「転載可能」で発表した著者は、その可能性もわかっているものと見做されます。「契約の責任」があるのです。


法律上で見ると、「転載可能」で公表した瞬間、著者は、著作権法上のいくつかの権利
第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2  著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
を、手放す契約書にサインしたのと同じこと。

もちろん、著者が、自分が何を手放すか理解しているのであれば、それは著者の自由です。
けれど、そもそも著者(ユーザー)が、著作権によって自分に何を与えられているかどうかも十分に判っていない状況で、権利を手放すことを前提にしたシステムを組む《Y!ブログ》は、ユーザーの手から権利を奪っているようにも見えます。

再転載不可は有効か?

「再転載(2次3次転載)しないでください」と“添え書き”することが、有効かどうか?
これはちょっと、私には判りませんww 

「契約上の限定」と、見做すことができるかもしれません。つまり記事著者が、
・著作権法的には、転載を許すかどうかは著者が決めることができる。
・《Y!ブログ》では、「転載可能」で掲載すれば二次三次転載も許すのが「一般的」かもしれないが、自分は(一次転載に)限定する。この限定をOKしてくれる人だけ、転載してください。
と、閲覧者との間に契約を結んだのだ、という解釈ですね。
これが有効である場合でも、後から“添え書き”を変更することはできますが、新しい“添え書き”による「契約」が有効になるのは、変更した後だけ。すでに転載されたものに対して、文句を言う根拠とはなりません。最初から契約条件を考えつくして“添え書き”を作成するのは、けっこう大変です。

《Y!ブログ》を使い、「転載可能」で記事を作成する時点で、「《Y!ブログ》が想定した契約」すなわち「二次三次転載も許す」という条件を呑んだんだ、という考え方もできそうな気がします。

どっちが正しいか、に対する正しい答えは、たぶん「判例がないので判りません」。
法律に書いてないことは、判例で決める、というのが、日本の法体系なので。

紹介いただいたブログを読む

OYAJI氏に、『一日仙人のブログ成功術!【35歳主夫になります!!】』「ブログ記事の【転載】利用について 」という記事を紹介していただきました

この方は“添え書き”が「契約上の限定」として有効だと解釈なさってますね。

話の流れとしては、
『一日仙人のブログ成功術!』は【転載】OKです
(中略)
3つだけ守って欲しい約束があります。
1つ目は【転載】した記事を元の記事にトラックバックして下さい。(中略)
2つ目は【転載】した記事を売らないで下さい。(中略)
3つ目は「【転載】OK」と書いてない記事は【転載】しないで下さい。
(中略)
著作権の原理原則から考えれば、「【転載】可」にプリセットされていることは、許可なく「複製・頒布・公衆通信」を可能にしてしまい、無用なトラブルの種になってしまうことは、多くのブロガーのご指摘の通りです。
とあります。全体の記述から、この方は著作権に関して十分な理解のある方だという印象を受けます。記事はこのあと、
しかし一方で、コピペ(複製)は個人が情報発信する上で非常に利便性の高い武器です。

リアル世界でのオシャベリや情報発信をネットで再現しようとすれば、どうしても文字や写真をコピペして記事に掲載したくなります。
これはコミュニケーションの欲求上、止むに止まれないものではないでしょうか?
と感情/情緒的な記述になります。(ここで、「それなら“正しい引用”でも十分間に合うでしょう」という突っ込みは、いれたいところです)

全体に気になるのは、これだけ知識のある方であれば、「転載可能にすること」が「権利を手放すこと」だということは十分理解していらっしゃるだろうと思うのに、その視点がないところ。つまりメリットが強調され、デメリットの記述が薄い。


『はじめてのYahooブログ』も拝読しました。ところで、「転載機能」を解説した記事がない、ですか? 私の検索漏れでしょうか? それとも……、
問題の深さと多様さをご存知のうえで、いまだ書きあぐねていらっしゃるのでは?、というのは、気をまわしすぎでしょうか。

それでもやっぱり、違法は違法

もう一つ気になることがあります。
『一日仙人のブログ成功術!【35歳主夫になります!!】』「ブログ記事の【転載】利用について 」
『楽しむYahoo!ブログの作り方♪』「超簡単!!記事の転載方法♪」
『とわ日記』 「【転載機能】との正しい付き合い方~あなたの記事も立派な著作です~ 」
と3本並べて拝読して思ったことなんですが、どうも、「法律違反」と「マナー違反」の境界線が曖昧な感じです。「どっちもやってほしくない」からあえて区別せずなのかな、という気もするんですが、個人的には、あるべき境界線がピシっと引かれてないのは、なんかどうもブヨブヨした物体を見ているようで、キモチワルイ(暴言w)
著作権法第五十九条  著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
「著作者名を記す権利」は、著作者人格権にあたります。
《Y!ブログ》がユーザーにどんな非常識な「黙示の契約」をさせようとも、違法の契約は無効!。「盗作」(著作者名の詐称」は法律違反!!

阿檀の主張w

今の段階で言いたいことは揃ったんで、そろそろまとめますww
  • 盗作は、どうあっても違法
  • 《Y!ブログ》以外のブログの記事を、“正しい引用”に依らずに転載すれば、違法! 《Y!ブログ》にだけ慣れた初心者ユーザーに、こういう危険を、もっと訴えてほしい!
  • 《Y!ブログ》で記事著者の添え書きを守らずに転載するのは、(たぶん)契約違反に該当
  • 《Y!ブログ》で、記事著者の添え書き(転載OK)がない記事を無断転載するのは、マナー違反らしい。
  • ユーザーが(自分で自覚が薄いまま)本来もつ権利を手放すようなシステムを組みやがった《Y!ブログ》スタッフには一番物申したい!
  • 問題ありすぎの機能を、危険を承知のうえで、「使うな」といわずに「奨める」チュートリアルブログさんにも、二番目に物申したいw

トーンの違い、伝わりましたでしょうか?w


末筆となりましたが、無関係の記事にトラックバックを打たせていただいた『はじめてのYahooブログ』サマには、お詫びを申し上げます。

また、長くなったので、公開私信は別記事に分けました。>とわ氏への私信、OYAJI氏への私信

【追記】(12/3,15:20)
最近、《eXcite》のトラバが不調で。時間帯を変えながら、何度かやって、やっとトラバを打ち終えましたorz