2006年 12月 10日 ( 1 )

コンプライアンスの時代にあって~敵は本丸《Y!B》にあり♪

 富野由悠季という人が
「ぼくは、1から話せばいいときに、-2くらいから話し出す癖があるのだそうだ」
と、どこかに書いていた。私にもそんな弊がある。
 ということで。ここで-2まで潜ってみる(爆)

コンプライアンスという社会の流れ

 たぶん、だが。かつて日本には「お上の言うことにはギリギリ従っておけばいい」という流れがあったような気がする。ところがその後(いつから、というほど根拠もないのだが)、法律に従うのは社会的責任、法律だけでなく法の精神……個々の条文より一回り大きい、法の目的のようなもの……も大事にしなければならない、という流れがでてきた。
 たとえば、UTANETというサービスがある。私がネットでいろいろしていて時々口ずさんでしまう『NotFound』という曲を、誰かに紹介したくなったら、歌詞を「勝手に」サイトやブログに載せて、著作権法違反で、JASRACなる元気いっぱいな団体にこってし絞られる必要は、ない。
『Not Found』
 こうして、UTANETの該当ページにリンクを貼ればいいのである。
 「ディープリンク禁止と言わない」という消極的方法ではなく、ページの最下段に「リンクコード」としてURIを示すことによって、著作権違反にならない歌詞の紹介方法を「提供」しているのを、ちらっとでいいので、見てみていただきたい。
 あー。つっこまれる前に言っておくと、むろん右クリック禁止は、無意味なンすがww ここの右クリ禁止は、嫌いでないです。右クリ禁止設定そのものが、「著作権は守ってくださいね」っていう静かなメッセージだと思ってるんで。
 UTANETが最初からこういうサービスだったかというと、そんなことはない。ディテールまでは憶えていないが、少なくとも最初期は形式的な会員制で、ディープリンクでは飛べなかったはずだ。
 いろいろあったのかもしれんがww
 とりあえず、今は、「歌詞は出さない」、ではなく、「歌詞を出しておいて『サイトにコピペしたのはユーザー、著作権を守らないユーザーが悪い』という」のでもない。サイトサービス自身が著作権を守ると同時に、ユーザーにも遵守を促してゆく。そんなサービスになっているんじゃないか、と思う。……私が期待する「コンプライアンス」とは、つまり、そういうものだ。

Winnyよりファイルローグ

本当はここで、システムサイドが著作権幇助に問われる可能性を、Winnyを例に探ってみる予定だったのだが。どうも、まだ、今年の7月に「検察側が懲役1年を求刑した」というのが最新情報のようで、判例などを探してもどうしても見つからない。
 ただ、高木浩光氏(産業総合研究所情報セキュリティ研究センター主任研究員)のコメントは参考になるかもしれない。
Winnyの問題は、アーキテクチャそれ自身ではなく、ユーザー側が自覚のないまま著作物ファイルを中継し、著作権法に違反しえたことにあると指摘する。高木氏は「開発者側は、Winnyの利用が著作権違反につながる可能性があることを、ユーザーに分かりやすく告知すべきだった」と話す


 もう一つ、参考になりそうな事例として、『ファイルローグ』の件がある。
これはインターネット上のファイル交換のサービスが、著作権法違反として損害賠償を求められた事件。求めた側は、かのJASRAC。2審判決を読んでみた。(強調:引用者)
単に一般的に違法な利用もあり得るというだけにとどまらず,本件サービスが,その性質上,具体的かつ現実的な蓋然性をもって特定の類型の違法な著作権侵害行為を惹起するものであり,控訴人会社がそのことを予想しつつ本件サービスを提供して,そのような侵害行為を誘発し,しかもそれについての控訴人会社の管理があり,控訴人会社がこれにより何らかの経済的利益を得る余地があるとみられる事実があるときは,控訴人会社はまさに自らコントロール可能な行為により侵害の結果を招いている者として,その責任を問われるべきことは当然であり,控訴人会社を侵害の主体と認めることができるというべきである。
 判例文そのものだから、多少言葉は硬いし、難しいのだが。何を言っているかというと、
「違反が出やすいとわかっているシステムを放置しておいたら、システム会社が責任を問われて当然」
ということである。
 また、こんな文章もある。(強調:引用者)
電子掲示板やインターネットそのものについて,そこにおける名誉毀損や著作権侵害に該当する情報流通が,一定程度生じることがあるとしても,それが,具体的にどのような形で生じるかは不確定であり必ずしも把握は容易でないのに対し,本件サービスでは,類型的な著作権侵害行為が,具体的かつ現実的な蓋然性をもって生じるものであり,控訴人会社(本件サービスの提供者)は,サーバ管理者として,送受信可能化されているファイルのうちのMP3ファイルの中で,市販のCD等の複製に係るファイルはどれかを,ファイル名ないしフォルダ名から容易にかつかなりの確度をもって認識でき把握できるものであるから,それらと同一視することはできない。
 つまり、危険がありうるナイフは、玩具売り場で売ってはいけないし、キッチン器具売り場で売るときも子供の届く棚には置かない。法律の知識を持たないユーザーも多いWEBシステムにも、同様の配慮が求められてしかるべきだ、ということだ。
 ナイフなしでは、料理ができない。しかし、転載機能なしでブログができないだろうか?

転載機能を撤廃させていくために

《Y!ブログ》ユーザーのトンコ氏が、現段階の議論をまとめてくださったのが、『転載機能を撤廃させていくために』というエントリーである。
二次以降の転載では元ブログ名が表示されなくなるのは、明らかに著作者人格権(氏名表示権)が侵害されている状態であることは一致。著作者人格権は、複製権など財産権としての狭義の著作権と違って譲渡も放棄もできない。

さらに、FD氏からも、『ひっそりと転載機能を考えてみます・・・その5』というエントリーが発表されている。
「氏名表示権との衝突」は解釈として氏名表示権の侵害の何物でもないとしか、解釈のしようがないように思えます。


 最初に述べたように「コンプライアンス」が社会的流れであるなかで、Yahoo!ほどのブランド力のある企業が、ユーザーから繰り返し改善提案の上がってきたこの機能をなぜ放置するのか、理解に苦しむ。
 と、すっかり法律的な硬い話になってしまった。最後のシメは、私の駄文ではなく、この方にお願いをしてみよう。……ちょっとブラックだけどねww
 これほど扱いの難しい機能を標準で使えるようにして初心者に提供するというのは、いわば市販の大衆車にレーシング仕様のニトロを標準装備で組み込んで販売するようなものです。
 そんな車が交差点にオーバースピードで突っ込んで犠牲者が出たら、もちろん一番悪いのはドライバーですが、こんな無茶な仕様の車を、さも当たり前に格安販売(ブログサービスですから無料提供ですが)するメーカー(Yahoo!)の製造責任は、追求されて然るべきでしょう。

『ひろの日記帳@International Cafeteria』「Yahoo! ブログの転載問題雑感」



(ひぇーー、この1文書くのに土曜つぶしちまった。A野さん、ごめん。明日こそ小説企画のほうのモロモロに着手します)

12/10追記、TB打ったのに改題しちゃった。TB打ち直すまではしません、すみません。
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