[ジングル・ベル・ノベルパーティ]『クリスマスの食卓』

 新規投稿が上手くいかなくてモブログをトライ、締め切りには間に合わず。
 で、モブログもなにかと上手くいかなかったので、繋いでアップにチャレンジ。
 モブログはとにかく投稿だけできたので、それをPCで編集できたらみっけもの。



『クリスマスの食卓』


 テーブルの上には、大きな丸皿の上に、ニワトリの骨が1羽分。肉はもちろん、家族の腹におさまった。
 付け合せの野菜も食べつくし、サラダのボールも空っぽ。底にドレッシングだけが少し残っている。
「ケーキ、出しましょうか」
 母がぽつり、と言った。
「うん、そうだね」
 父の声が低い。
「今年は、デコレーションケーキだけど」
 冷蔵庫から白い紙の箱。緑と赤のリボンをといて、白いクリームと銀のアラザンで飾ったケーキを取り出した。
「きれいだね」
 ひどくおざなりな調子で、弟がいう。
 白いケーキは切り分けられ、切り口からは薄黄色のスポンジと白いクリーム、それにクリームに混ぜ込まれたフルーツのオレンジイエローが覗いている。
「これ、アプリコット?」
 できるだけ明るい声を作って、私は聞いてみる。
「そうよ、お前が好きだから」
「うん、サンキュ」
 嬉しくないわけではなかったけれど。
「ねえ。もうやめようよ。やっぱり無理だよ。伯母ちゃんの話をしないなんて」
「そうね、無理みたいね」
 母は、ほっと息をついた。
「伯母ちゃまのあの、パウンドケーキ!」
「形はねえ、地味なのにねえ、本当に美味しかった」
「あのフルーツ、何ヶ月も洋酒につけておくんですって」
「あとクッキー!」
「シュガーで飾りをつけて」
「もう大変だから、って言っても、クリスマスの楽しみのうちだからって」
「うん、毎年かならず」
「なんか食べ物の話ばっかりだね」
 弟が苦笑する。
「いいのよ、食べるのも、食べさせるのも、大好きな方だったんから」
 伯母は。今年の秋にガンで逝った。
 春ごろには本人もガンであることは知っていた。
──あと1年くらいはがんばれるかしら。
 無邪気に聞く伯母に、今年の年は越せないだろうと医者から言い渡されていることを、周囲の者たちはついに言えなかった。
 せっかくのクリスマスだから亡くなった方の話はしないでいましょうと、誰からともなしに決めていたのに。我が家のクリスマスと伯母の記憶は分かちがたく結びついていて。
 それとも、まだ他のことは……温かな笑い方や、やわらかな訛りのこと、そして末期の苦しみのことは話せないだけなのだろうか。


 メリークリスマス。
 今は天にある人にも、メリークリスマス。



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企画元: ダーサの遊園地 めめんD ( http://ders.exblog.jp/

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by as-o2 | 2009-12-25 02:29 | ひとサマのブログ | Comments(2)
Commented by MemenDers at 2009-12-27 02:01
少し遅れて、メリークリスマス
ご参加ありがとう

いやあ、おかげさまで胸のつかえがとれました m(_ _)m(ごめんなさいです。
要は、成るようにしか成らないこともある。

この作品に出てくる叔母様のように、語られる人になりたいものです。
Commented by as-o2 at 2009-12-28 18:20
半分くらいノンフィクションです。とくに伯母の「人となり」のあたりは。
こんな形で書いておく機会をいただいたことを、感謝しています。