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ソウメン・サイドディッシュ

流水麺のバラエティを読んでいるうちに、思い出したことがあって、トラックバックさせていただきマス。

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私がまだ入社3年目くらいの時。上司男性(30代半ば)と入社1~3年目の女性3人、という職場だった。上司はおだやかな人で、部下の面倒もよく見た。よくある“上司の悪口”が、ほとんどない職場だった。

職場は食品メーカー・実験系。コンロも鍋も氷も水もあった。上司の誕生日に、ソウメン・パーティをやろうということになったのは、誕生祝いは半分言い訳で、職場イベントがやりたかっただけだった気もする。上司は、毎日、愛妻弁当を持ってくる人だったので、
「×月×日は、お弁当を持たずにいらしてください、ソウメンでもゆでますから」
そう予告を入れておいた。

いくらなんでもソウメンだけでは栄養バランスに問題がある。和風のサラダと棒棒鶏とダシマキを、同僚と手分けして持参した。私の担当は、棒棒鶏だったのだが、レシピを全部書くのも面倒だ、人サマのサイトを勝手にリンクしておこう。ただこのサイトの白鶏(バイ・ヂィ)は、準備、大変すぎ(汗)。モモ肉に軽く塩をし、ショウガのかけらと長ネギ少々を貼り付けて、酒をかけ、電子レンジで「酒蒸し」にすると、楽だったりする。ちょっとパサつくかもしれないが。

そして当日。
「弁当いらない、って言ったら、家内がこれを持っていけ、と言うものだから」
上司が出したタッパーには、部下たちの分まで、野菜の煮しめと、サラダ、それに海老のてんぷらが入っていた。普段の弁当づくりより、よほど手がかかったものに見えたし、海老なんて、けっこう高そうである。
4人分の量があっては、遠慮していてもしょうがない。しっかり、いただいた。
「家内は、料理は、趣味だから」
上司がよく、嬉しそうな顔で話してあるだけあって、手料理はとてもおいしかった。

片付けの、皿洗いの最中。上司まで届かないよう、女性3人はぼそぼそ話す。
「そういえば、奥さまも、この会社だったんだって。で、職場結婚で」
「ふーん」
しばらくの、間。
「──悪いこと、したかな?」
一番若い同僚が、ぽつり、と、言った。

その後。この上司の誕生日に、イベントが行われることはなかった。