エミールガレ

江戸東京博物館エミールガレ展を見た。

ポスターのコピーは、「そこに、私の知らないガレがいた」。すくなくとも私個人にとっては看板に偽りなしだった。

いままで、アールヌーボー系のガラスはそれなりに見たつもりなのだが、初期のガレがエナメル彩色であったことは知らなかった。有機的でぬめりとした質感と、鮮やかな色ガラスを重ねた印象が、先に立っていたのだが、私が「ガレらしい」と感じる作品は、今回、ほとんど後期に分類されていた。

それから、今回、目についたのは、「好かれようと気にかける」「よどんだ暗がりから逃げ出せ」(ともに花器)といった、タイトルの面白さである。象徴主義、という言葉は知らないでもないが、それとガレを結びつけたことはなかった。

連想したのは、美しいピアノ曲に「ひからびた胎児」「犬のための、ぶよぶよした前奏曲」などのタイトルをつけたサティである。

ガレが、生年1846年、没年1904年。サティが、生年1866年、没年1925年。活躍の主な舞台はパリだったと思うし、接点はなかったのかな、と、想像してみるのは楽しい(誰か調べて載せてくれていないか、ざばっとネット検索かけたけど、目ぼしいものは見つけられなかった)


展覧会では、やはりガラスらしい色の美しい作品に目がいったのだが。

展覧会の一角に、ドレフュス事件を扱ったものがあった。
これはフランス軍内部にいたスパイとして、ユダヤ系フランス人ドレフュスが逮捕されたが、実はこれが冤罪であった、というもの。体面のある軍、反ユダヤ感情もあるメディアを相手に、文豪ゾラ等が、ドレフュスの名誉回復を求めて戦っていた。

アートなギャラリートーク様のBen SHAHNコラムをだいぶ参照^^</a>


エミール・ガレも、ドレフュスの側に立って戦ったのだという。

この事件を忘れないということを、タツノオトシゴ=海馬に象徴させた作品(脳の海馬が記憶をつかさどるところから)。
悪意の噂を象徴する、魔女の横顔を描いた作品。
黒とも焦げ茶ともいえる深い色あいの、ガラスらしくないほど不透明な作品は、深い思念を湛えているようで、迫力があった。


一度、象徴という側面からガレを見てしまうと、彼が好んで使った植物のモチーフも、暗い土の中から現れて萌えたつ、生命そのものに見えてきて。鮮やかな色彩が、最初に見たのとはまた違った意味合いを帯びてきた。
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by as-o2 | 2005-02-15 12:43 | 日記のようなもの。 | Comments(0)